歯科用マイクロスコープの登場で格段に進歩した歯科治療
今までの歯科治療は、大部分が肉眼にたよっていました。
時には狭い口腔内のなかを手探りやカンだけで治療を行うこともあります。
そのため見えないところは見えるまで削りとってしまうなど、健康な歯をどんどん削りすぎてしまったり、見えないために悪いところを残してしまうなど問題があるために、虫歯の再発や根の神経痛みがでてしまうこともありました。
しかし、歯科用マイクロスコープの登場により、高倍率で歯を見ながらの治療が可能になり、悪い所だけを削りすぎずに最少の削る量で治療できるようになりました。さらに拡大視しているので、きれいに治療部位を封鎖することができます。
近年はMI治療が注目され、歯にとって最小限の侵襲で治療して、できるだけ削らずに歯を残す治療が主流になってきています。
歯科用マイクロスコープ・マイクロルーペをつかった顕微鏡歯科治療も、そんな時代を象徴する最先端の歯科治療なのです。
しかし、歯科用マイクロスコープは高価な機械であるため、日本の歯科医院においてあまり普及していないのが現状であります。(※2009年歯科医院普及率2.9%程度)
そのため、顕微鏡治療は、ごくごく一部の歯科医院や大学病院で行われているのが現状なのです。そして、この現状は10年前とあまり変わっていません。
すでに、アメリカでは根管治療(歯の根の治療)の専門医には歯科用顕微鏡の使用は義務化され、日本と欧米諸国との歯科治療の格差はますます広がってしまったのかもしれません。
歯科用マイクロスコープ登場の歴史
もとは耳鼻科、眼科で使用されたもので、1950年代に脳神経外科、60年代には産婦人科、70年代には心臓外科領域で使用されるようになりました。90年代には歯科でも有効性が認知されるようになりましたが、日本での普及は一部の歯科医院、大学病院など、ごく限られた医療機関でのみにとどまっています。
普及が進まない原因としては、機器が高価でコストがかかること、歴史が浅いため教育の場がないことなどが挙げられます。
しかし治療の精度は確実に上がり、患者さんにとっても低侵襲性で歯にやさしい治療方法なので、今後の普及が期待されます。